懐かしい歌だ。誰も知らんだろう
俺が死んだら陽気に、友よ
好きなあの歌 歌っておくれ
「生きて行くのが下手な奴、眠る」と墓に書いてくれ
昨日と明日のその中で 人の命は風任せ
俺が死んだら愛する人よ 早く忘れてしまっておくれ
中村雅俊のテビューアルバム『ふれあい』に収録されている。題は忘れた。
多分、吉田拓郎の作。
これに入ってる『白い写真館』も好きだ。
「あの町にはまだあるのだろうか 白いペンキの小さな写真館
窓には女学生の写真がひとつ 額に飾ってあった
その黒髪は微かに揺れ 薄紫の日暮れに熔けた
その微笑みを見つめた時 我が眼差しは炎と燃えた
それがあいつの恋人だとは その時少しも気付かなかった」
どうしてだか、中学生だった僕はこの詩の向こうにある物語を鮮明に想像した。
魅入られる、と言うのは、無意識下に蓄積された嗜好が連携されて起こるモンタージュなのだ。
それが、起こった。
個人の中で蒸溜された想いは彼にとってのみ純度の高い美酒。
だが葡萄は見知らぬシャトーで手厚く醸造され、手の届かぬヴィンテージものになる。
30年も前から、見えていたのだね。
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