SPACE BATTLESHIP ヤマト

よく頑張った。と、本放送初回からリアルタイムでヤマトを観てきた俺は思う。
文句を言う人の気持ちもわからんではないが、それらの人々を「野暮」だと思ってしまうのだ。
ヤマトは既に伝統芸能なのだ。歌舞伎であり、シェイクスピア劇なのである。
観客側は物語を知っており、無言のお約束が共有されている。
それをケレン味たっぷりに具現化することがこの映画の趣旨であり使命だと言える。
日本映画としてはバジェット的には超大作なのだが、その精神はタランティーノロバート・ロドリゲスのようなB級魂で貫かれている。
山崎貴監督も脚本の佐藤女子も本当によく頑張ってくれた。様々な枷が課せられた中で、ちゃんと「明日への希望」を見せてくれたのだ。
満点はつけられない。贔屓目を差し引いて出来そのものを評したら「良」である。しかしパッションの加点がかなりある。
ヤマトをわかってないとかリスペクトしてないとか言ってる人の方こそ何もわかっていないのは確かだ。

尺がもう少しあれば忙しい感が薄まってドラマに入り込めた気がする。地球に戻ってもつい2時間前の事なので何もかもみな懐かしくまでは感じないのだ。多少ウザくなるかもしれないが、シーン変わりに「航行XX日目」のテロップとか航路図とかで「旅してる感」を説明しても良かったような気がする。

キムタクはキムタクでいいのである。裕次郎なんかどの映画も裕次郎でしかないが、そのことで批判はされないだろう?
スターとはそういうものなのだ。その存在を観にゆくものなのである。そもそも木村拓哉主演でなければ金が集まらなかっただろう。

個人的には佐渡先生の猫に助演賞を差し上げたい。