沈まぬ太陽

山崎豊子原作は主人公の抑圧時代が重要なファクターとなる為に、そこを端折れない。
だがその部分は受け手に忍耐を強いるので娯楽性が無い。
それを何とか3時間超に収められたのは、一度着席したらチャンネルを変えられない映画だからであろう。
実際、ドラマとしてはインターミッション後の方が格段に面白い。
前半は、興味を繋ぐための「御巣鷹山」の話が断片的に振り分けられていて成立している。
しかし時代を順に追って行った方が主人公にストレートに感情移入出来るのは否めない。
つまり、原作は大河ドラマなのである。
「人間の条件」のように連作にするのが一番なのだろうが、そんな時代ではないのが惜しい。

木曜日なので、帰宅して夜にはドラマ「不毛地帯」を見たのだが、基本的に同じ構造だと思った。
壱岐正は、「沈まぬ太陽」では"龍崎一清"と言う謎の人物として登場していた。
時の総理に半官半民の企業の会長職の橋渡しを頼まれるような人物。まるでラスプーチンであるw
それにしても総理役の加藤剛は老いたなぁ。総入れ歯の滑舌なのが悲しかった。自筆で花押を書けるのは流石だが。

ワンシーン毎に顔の知れた俳優がカメオ出演のように登場するのが、豪華と言うより日本映画界の"狭さ"を感じさせてしまうのだよなぁ。