ALWAYS 三丁目の夕日

spirit272005-12-07

僕の一番古い記憶って何だろう。混然としてはっきりしないが、その中の情景はこの映画に見いだせる。
土の路地に沿う木のドブ板、駄菓子屋、車掌のいる都電…それは確かにこの手で触れたものだ。
ノスタルジィに無条件で涙したのではない。やはり物語が上手かったのだ。

この映画は、当時を知らぬ世代には"SF"なのだ。
だからCGで描き出された昭和30年代初期は重要な意味を持つ。つまりは"世界観"と言う奴だ。
情報が溢れかえる時代で成長して来た者達にすれば、無意識のうちに"近過去"はインプットされている。
(その時代ならば有り得るだろう…)
そう思わせてしまうのだ。
そしてSFの位相を使えば直球勝負の物語もナチュラルに変化して、観客はそれを陳腐とは感じない。
この映画は、当時を知る人には郷愁に伴う感動を、知らぬ人にはセンス・オブ・ワンダーからの感動を与えるだろう。