どろろ

spirit272007-02-05

MOVIX亀有にて、モーニング割引1200円。ナイスジャッジだったかな。
 
個人的には、キャスティングに問題はありません。手塚キャラは"昇華された記号"だと思うから、扮装で似ていると思えます。
ですが全体としての感想には問題アリ。「尺が長い、説明臭い、説教臭い、VFXが稚拙」なのです。

まずアバンが長い。設定の起承転結の起から説明してくれるのですが、メインタイトルが出るまでの数分間、画面を独占しているのは主役ではありません。私たちは一体誰の視点でこの物語を見ればいいのか?これでは初っ端から観客は"傍観者"にさせられてしまいます。
この辺りの(百鬼丸の父が魔物と契約する)説明は物語の中で上手く見せて欲しかった。
だって、メインタイトル出てからフード付きマント被った謎の男が歩いて来る、所は「何が起こるんだ?」という興味で観客を引き込ませられる作りだったから。ここから始めるべきでしょう。
 
魔物とのバトルの後、「百鬼丸の出来るまで」を懇切丁寧に見せてくれるのですが、長い。
観客(つまり私)は「どろろと百鬼丸の活躍」を期待し、早くそっちを観たいんだけれど、映画の方で
『はい、まだキャラクターの説明が終わってませんよー、この可愛そうな生い立ち知らないと感情移入出来ませんよー』
と、"映画的なノリ"を我慢させられるんです。
で、ちょっと饒舌な「シザーハンズやってみたかったんだー」的な、育ての親の死までを、観客はどろろと共に文字通り"聞かされる"訳です。『奴は何者だ?』と尋ね、アニメのAパート分くらいの説明シーンが入って、終わっても、聞き始めと同じ場所に居る!映画に躍動感が無い。手痛い停滞です。
そのパターンが随所にあるんですね。どろろの生い立ちの回想もそれでした。

子捨て親にどろろが激昂する所も、動きが無い。対峙したまま台詞だけで応酬するから、説教臭い語句がちゃんと説教に聞こえてしまうんだと思います。

魔物と百鬼丸のバトルはCGがCGを自己主張していてwそれもほぼ全編にわたってなので、少し辛い。
本筋と絡むバトルの後は「次々と魔物を倒して行きました!」的に点描にすればテンポも良く、どろろとの情の浸透具合も"場数"が"時間"を醸すので腑に落ち易いと思うのですが、僅か三体。数が少ないからひとつひとつの戦いが長い。それがよけいにCGの自己主張を印象づけて、ジプシーキングス・バンボレオなBGMと相まって私の顔は微笑みっぱなしです(^^;

観客が求めるクライマックスは城での大バトルなんですが、向こうから野っ原にやってきてくれます。
画面が寂しい!広大な荒野(ロケ地・ニュージーランド)の真ん中で数人規模のチャンバラっすよ。

最後に"残り 二十四体"って言われても…「今度は戦争だ!by ALIENS」ぐらいに変わってくれればいいな。
どろろ2があるならば。


映画についてのblogで、いつも参考にさせて頂いている『ノラネコの呑んで観るシネマ』でもやはり、な評価でした。
色々なお酒に詳しい方です。私と言えば酔鯨とエビスばかりですから…。