亡国のイージス
『ローレライ』『戦国自衛隊1542』より遙かに楽しめました。
スティーブン・セガール主演の『沈黙の戦艦』の日本版ですね。ただこっちの真田浩之は特殊部隊員でも何でもないただの人なので、"イージス艦ダイ・ハード"と言った所でしょうか。
例によって原作は読んでいないのですが、おそらく枝葉はバッサリ切り落とした脚色がなされているのでしょう。
気持ちいいぐらいにキャラクター説明台詞が少なく、また、謀反に荷担した自衛官達の心理なども特に説明はありません。物語の端々で垣間見せるだけです。
多分原作には、自衛官に謀反を起こさせる為にそれ相当の設定とか論理とかが細かく描写されているのでしょう。この有り得ない状況の"必然性を捏造"するには膨大な言葉を必要とする筈です。
だが映画的にはそこが足枷になる。それを切ったのは英断です。
この映画に於いて必要なのは、"亡国のイージス艦が某国の工作員に乗っ取られた状況"なのです。"乗っ取るに至った理由"が主ではない。その辺が説明されなくても劇的状況は観客に見えているから、その中で展開される物語を楽しめる。これはこの映画の方向性を"ダイ・ハード的アクション物"に絞ったスタッフの力でしょう。
阪本順治監督で良かった。
ヘリ甲板に寝っ転がって手旗信号の場面はちょっと笑いましたw